骨軟部腫瘍

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腫瘍班

スタッフ:馬場一郎、西川祥太郎

腫瘍には骨に発生する骨腫瘍と脂肪や筋肉などの軟部組織に発生する軟部腫瘍があります。さらに良性と悪性があり特に悪性は生命をおびやかす疾患であり早期発見と正確な診断、そして手術による確実な切除が必要です。また良性腫瘍であっても再発することが多い腫瘍もあり、やはり早期診断と確実な手術が重要となります。
腫瘍には非常に多くの種類があり、それぞれの特性を知った上での治療が必要となります。様々な画像検査を駆使して、良性悪性を早急に見極め、生検術を行って診断を確定します。良性ではしばらく経過観察を行ったり、時期を待って手術をすることもありますが、悪性では早期の手術が必要となります。四肢の悪性腫瘍では20~30年前までは切断術を選択することが多かったのですが、最近では画像診断や病理診断の進歩、新しい手術手技の開発などにより患肢温存手術を選択することがほとんどで、悪性であっても抗癌剤の治療効果により不治の病ではなくなってきています。
また超高齢化社会を迎えてた現在は乳癌、前立腺癌、腎癌、肺癌などが骨転移を生じて、脊椎では麻痺症状や四肢骨の病的骨折をきたし、整形外科での手術が必要になることもあります。乳腺外科、泌尿器科、内科、放射線科などとも連携して、早期の診断と骨修飾薬を使用した骨関連事象の予防、保存的治療、麻痺や骨折例には手術なども積極的に行っています。
血管腫や血管奇形には保険適応ではありませんが、硬化療法を基本的治療としています。類骨骨腫に対してはCTガイド下ラジオ波焼灼術をさらに低侵襲に行うため、中空スクリューを併用して行っています。

良性軟部腫瘍
 脂肪腫、神経鞘腫、類上皮嚢腫、腱鞘巨細胞腫、血管腫、血管奇形、粘液腫など
悪性軟部腫瘍
 脂肪肉腫、悪性線維性組織球腫、滑膜肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、悪性神経鞘腫、血管肉腫、線維肉腫など

良性骨腫瘍
 内軟骨腫、骨軟骨腫、骨巨細胞腫、線維性異形成、骨線維性異形成、動脈瘤様骨嚢腫
 単純性骨嚢腫、軟骨芽細胞腫、類骨骨腫、好酸球性肉芽腫など
悪性骨腫瘍
 骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性線維性組織球腫、転移性骨腫瘍など

画像診断 超音波診断(ドップラでの良悪性診断)、3D―CT
  MRI(ダイナミックMRIでの良悪性診断、病期診断に全身MRI)
  骨シンチグラム、タリウムシンチグラム(良悪性診断)、FDG-PET

 血管造影(放射線科と協力して動脈コイル塞栓術など)

病理診断
 軟部腫瘍に対する外来での針生検
 深部の骨軟部腫瘍に対するCTガイド下針生検
 病理部との連携のもと正確な診断
 多院との協力下に遺伝子診断

治療
 良性軟部腫瘍
  単純切除
  血管腫、血管奇形 硬化療法(経皮的硬化療法、カテーテルを用いた動脈塞栓療法)
 良性骨腫瘍
  病巣掻爬と人工骨移植、骨セメント充填
  再発率の高い腫瘍にはアルゴンビームコアグレーター使用
  類骨骨腫 CTガイド下ラジオ波焼灼術
 悪性骨軟部腫瘍 患肢温存手術
  小児例では小児科と連携しての術前後化学療法
  広範切除 In situ preparation法での神経血管や骨の温存
   軟部組織欠損には 局所筋弁、局所筋皮弁、遊離筋皮弁
  骨欠損には 腫瘍用人工関節、仮骨延長
 転移性骨腫瘍 
  ラジオ波焼灼術 
  四肢病的骨折、切迫骨折に対する髄内釘固定、腫瘍用人工関節による再建
  術前の動脈コイル塞栓術併用による出血軽減

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全身MRIでの転移巣検索

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CTガイド下針生検

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骨肉腫に対する腫瘍用人工膝関節置換術

腫瘍6
骨肉腫に対する制御型人工股関節置換術
 
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ポリドカノールを用いた手の血管腫に対する経皮的硬化療法

腫瘍8

腫瘍9
類骨骨腫に対するCTガイド下ラジオ波焼灼術