第26回日本脊椎・脊髄神経手術手技学会学術集会報告
2019-12-03
大阪医科大学整形外科学教室 藤原憲太
令和元年9月6日(金)と7日(土)の2日間にわたり、大阪国際会議場(グランキューブ大阪)にて根尾昌志教授主催の第26回日本脊椎・脊髄神経手術手技学会学術集会が行われました。
以前にも同門会報などで何度かご案内させていただきましたが、一体どんな内容の学術集会であるのかとご疑問を持たれる先生もおられるかと存じます。本学会は名前の通り脊椎・脊髄の手術手技、テクニックに特化した学会です。「整形外科と脳神経外科の情報交換」「世界同時進行」「個人レベルでの学会参加」の3本を学会の柱としております。その中でも整形外科医と脳外科医が一堂に会し、お互いの知識・技術を学び合い、お互いの脊椎脊髄外科治療を高め合う「整形外科と脳神経外科の情報交換」が、この学会の最も大きな特徴であり存在意義です。そのような学会のありようを踏まえて、根尾教授により今回の学会のテーマは、「ひらめき! -技術を進める力-」となりました。
脊椎班スタッフ、大学院生を中心に日常診療の合間を縫って準備を進めてまいりました。演題募集が終了し抄録作成の山場を越えたあたりまで前回の同門会報にご報告いたしましたが、学会直前までJianru Xiao教授のビザがなかなか取れなく来日が危ぶまれたり、胃の痛くなる場面は多々ありましたがなんとか予定通りに学会開催日を迎えることができました。
さて学会前日9月5日は会長主催の食事会を大阪城近隣のガーデンオリエンタル大阪にて開催いたしました。午前中は天気がぐずっていたのですが、会場に向かう途中に雲間から虹が出ているのを見て、これは吉兆!と教授秘書森岡さんと一緒にニッコリとしました。5時からの学会理事会開始時点ではすっかり晴れて庭の木々の緑が適度な水気を得て清々しい雰囲気となりました。
食事会には当会の理事の皆様、海外からのゲスト、各セミナーの講師の先生方、座長の皆様を御来賓としてお招きし、当方は大阪医大名誉教授である小野村敏信先生、阿部宗昭先生ご夫妻、木下光雄先生ならびに同門会会長の大島正義先生はじめ本学会にご協力いただいた同門の先生方に多数ご臨席賜りました。
会のはじめに根尾教授より英語のみでのご挨拶をいただきました(日本語挨拶なし!でした)。宴が始まる前に、根尾教授ご夫妻の所属されていた京都大学奇術研究会の後輩で、現在農学部4回生の鈴木駿君によるマジックパフォーマンスが披露されました。会場には特別のステージを設えました。根尾教授夫人である陽子様にはこの準備にご尽力いただきました。このステージのMCもお願いし、こちらも英語のみ!のスマートなご紹介をいただきました。鈴木さんは第10回学生マジック選手権で優勝した実力者です。パフォーマンスはトランプと四つ玉が印象的な、手先の高度な技術が要求されるスライハンドマジックです。笑顔で易々と演じて観衆を魅了していただきました。
引き続いて小野村敏信先生に乾杯のご挨拶をいただき、終始和やかな宴席となりました。
最後に大島正義先生に締めていただき閉会となりました。
9月6日、学会初日は、早朝から当教室から20名のボランティアスタッフにお手伝い頂きました。
朝の受付を8時00分から開始し、朝8時20分からの根尾教授による開会の辞までに相当の人数が来場いただきました。今回の学会の特徴は、ポスター発表を廃し5会場口演のみでの開催です。これは演者と聴衆の活発な意見交換の機会を出来るだけ増やし、かつ若い先生にも口演・ディスカッションのチャンスを得ていただこうとの会長の思いから来ております。スタッフ間の連絡は、昭和生まれの私にはちょっとハードルの高い「ライン」を活用(グループ名はもちろんJPSTSS)して、意思統一を図りました。いよいよ8時30分から各会場でシンポジウム、レクチャー、主題、ハンズオン、一般演題が一斉にスタートしました。
今回主題として取り上げた「Technical Tips(診断・手術のコツ) 」「脊椎・脊髄外科の新技術」 「成人脊柱変形」「脊椎・脊髄腫瘍」「キアリ奇形と脊髄空洞症」にはそれぞれ会長である根尾教授の思いが詰まっております(同門会会報第49号に収載の根尾教授の開催挨拶をご覧ください)。この主題に92題ものご応募をいただきました。
海外からも6名の講演者を招聘し、世界の最先端の情報を会員に提供いただきました。また連動するシンポジウムにも出来るだけご参加いただき世界のトレンドと日本の現状について活発な議論を戦わせていただきました。
この他にもSpine Leader‘s Lectureと称して、脊椎脊髄分野のトップランナーの18名の先生方に、それぞれの得意とする分野のご講演をいただきました。
またランチョンセミナー5講演、Tea Time セミナー2講演、ハンズオンセミナーもこの規模の学会としては異例の6セッション企画いたしました。手術手技はもちろん、超音波での神経根描出という新しい画像診断の技術を参加された先生方に習得していただきました。以上2日間の期間中に学びの機会がぎっしりと詰まった会となりました(同時収載のプログラムをご覧ください)。
初日は緊張の内に無事終了し、19時15分から会場12階のグラントックにおいて全員懇親会が開催されました。根尾教授の会長挨拶に引き続き、懇親会の目玉としてノーベル賞受賞晩餐会で度々使われたことで有名なシャンパン「テタンジェ 」が供され、次期会長の亀田総合病院久保田先生による乾杯のご発声で会が始まりました。
予想を大幅に超える来場者で立錐の余地もないほどの盛会となりました。参加者の皆様は懇親会後それぞれ大阪の夜を楽しまれたのではないでしょうか。
2日目も、8時15分から5会場フルに使っての開催となりました。主題4セッション、シンポジウム2セッション、教育研修講演3題、ランチョンセミナー2題、Spine Leader‘s Lecture4題、ハンズオン4セッションと2日目とも思えないほど濃い内容です。
無事終了後、最後にスタッフ全員第一会場に集合して記念撮影を行いました。
好天にも恵まれて参加者が非常に多いなとの印象を持っていましたが、最終的には本学会で今までにない480名を超えるご参加をいただき、盛会のうちに無事終了することができました。
最後になりましたが、本学会を開催するに当たり多大な御支援をしてくださいました大阪医科大学同門会の皆様に心から御礼申し上げます。早くも2年後には、根尾教授主催で、記念すべき第50回脊椎脊髄病学会を京都で開催予定です。引き続いての御支援何卒宜しくお願い申し上げます。
第26回 JPSTSSにてBest Presentation賞を頂きました。
ご指導ありがとうございました。
岐阜大学整形外科 野澤 聡
2015年4月より1年間、大阪医科大学根尾昌志教授のもとに国内留学させて頂きました岐阜大学整形外科 野澤です。当時、大阪医科大学の肩書きで論文を出したいという私のわがままに対し根尾教授から与えて頂いたのが今回の受賞テーマ‟Interbody bone graft via transdiskal screw holes as treatment for high-grade spondylolisthesis”でした。私が岐阜大学に帰ってから英文化が遅延しご迷惑をおかけしていたのですが、2019年はじめWorld Neurosurgeryにアクセプトされ、今回JPSTSSにおいてBest Presentation賞も頂くことができました。根尾教授・中野敦之先生はじめご指導頂きました脊椎班の先生方には心より感謝申し上げます。
学会中は脊椎班以外の先生方・関連病院の先生方にもお声がけ頂きました。大変ありがたく、また当時を懐かしく思い出しました。現在大阪医大整形外科は業績でもマンパワーでも益々盛り上がっているとのお話を聞くにつけ、私も岐阜大学も大阪医大の先生方に負けないよう頑張らねばと思った次第です。
改めてご指導ありがとうございました。切磋琢磨しあえる存在でいられるよう一層精進したいと思います。
JPSTSSに参加して
大阪医科大学整形外科学教室 藤城高志
2019年9月6日・7日、当教室 根尾昌志教授が会長を務められた第26回日本脊椎・脊髄神経手術手技学会が行われました。
私は、“若年成人脊柱変形患者の手術適応サポートツールの開発”という演題の発表を行いました。私がフランスに留学していた頃、在籍していたボルドー大学では“成人脊柱変形の手術適応を作る”という目標の下、その達成のために様々な臨床研究が行われていましたが、これはその仕事の一端を担ったもので、今年European Spine Journalに掲載されました。
この学会には、ボルドー大学から、留学中大変お世話になったDr. Louis BOISSIÈREがGuest Speakerとして初来日しました。彼の公演の中でも、今ボルドー大学では現在私が作ったスコアリングシステムが使われているようで、またそれをさらに今後研究を重ねて改良しようと思っているというLouisの話を聞いて、非常に感激しました。
また、この発表でBest Presentation賞をいただくことができました。会長の根尾教授や教室の先生方はこの選考に関与していないとのことで、私がフランスで行ってきた仕事が当教室に在籍していない先生方にも認めていただけたことに大変嬉しく思っています。
今後も教室の発展に貢献できるように精進する所存です。諸先生方には今後ともご指導、 ご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。